
「シンガポールは起業しやすい国」と聞いたことある人は一定数いると思います。
確かに税制面やサポート面でメリットはありますが、実はデメリットもあります。
外国で起業するためには、メリットだけでなく、デメリット、その国の特質まで理解しておくことで、失敗するリスクを大きく下げることができます。
本記事では、2021年からシンガポールの外資系企業で働く筆者が「シンガポールで起業する3つのメリットとデメリット」について解説いたします。
これからシンガポールで会社設立や起業を検討されている経営者の方に、読んでほしい内容となっております。
目次
シンガポールで起業する3つのメリット

シンガポールで起業するメリットは、主に以下の3つです。
- 法人登記が簡単
- 有利な税制
- 立地の良さ
それぞれ解説していきます。
法人登記が簡単
シンガポールは積極的に外資企業誘致しており、法的規制が少ないです。法人設立手続きも簡易なので、企業進出のハードルが非常に低いです。
法人代表者がシンガポールに居を構えなくても、居住取締役を1名選出すれば良い、資本金はS$1(約80円)〜など諸外国と比較しても、緩い条件となっております。
代行業者を上手に活用すれば、即日で法人登記することも可能です。
有利な税制
シンガポールは法人税の低さが世界一であることが有名です。
シンガポールの法人税率は17%、日本の法人税率は36%。また、シンガポールの所得税最高は22%、日本の所得税最高は最大55%。(2020年9月時点)
当然の感覚
— クララ (@clara_yjfx) February 4, 2019
税金高すぎ
日本 所得税最高55% 相続税最高55% 法人税35.64%
シンガポール 所得税最高22% 相続税0% 法人税17% https://t.co/vhvTwwWhvD
このことから、シンガポールは生み出した利益を企業側に還元しやすく、個人の手元にもお金を残しやすい有利な税制となっていることがわかります。
立地の良さ
シンガポールのビジネス・交通・生活インフラは世界でもトップクラスです。
またアジア近隣諸国、オセアニアへのアクセスは抜群に良く、東南アジアのハブと呼ばれています。
優れたインフラと立地の良さが多くの外資企業や外国人に人気の理由です。
シンガポールで起業する3つのデメリット

シンガポールで起業するデメリットは、主に以下の3つです。
- 固定費が高い
- 市場が小さい
- 法律が厳しい
一つずつ解説していきます。
固定費が高い
有利な税制を持つ一方で、事業の売上が立たない場合は、オフィスの賃料が高く感じます。オフィスの賃料は日本の東京(六本木)の2倍程度となり、創業期は財政的に苦しい時期が続きます。
打開策としては、中心地にあるスタートアップ向けのコワーキングスペースなどを活用することをおすすめします。
日本の大手企業がシンガポールのコワーキングスペースに支店オフィスを構えていることも少なくありません。
市場が小さい
シンガポールの国土面積は、約720㎢と兵庫県の淡路島ほどの広さです。また商圏規模は、京都府と同じくらいと言われています。
そのためシンガポール国内のみで事業を完結すると、大きなビジネスの発展を期待することはできません。
グローバルな事業展開を目指す方は、シンガポールに設立する会社は統括会社として位置づけすることをおすすめします。
法律が厳しい
シンガポールは一党独裁政治のため、常に合理的な政治を求めて、スピーディーなルール制定や改善が行われます。
近年シンガポールで外国人が就労ビザを取得しづらくなっている理由も、シンガポール政府が国民の意見を取り入れて、スピーディーな行動をしている影響です。
こちらの記事では、シンガポールの就労ビザについて詳しく解説しています。
経営資源に乏しいスタートアップは、上記のようなルール変更にスピーディーに対応できる力が必要です。
シンガポール起業にぴったりな人とは?

筆者が考えるシンガポール起業に向いている人は、以下に該当する人たちです。
・グローバルな事業展開がしたい人
・変化に柔軟に対応できる人
・現地にビジネスパートナーがいる人
・有利な税制を活かせる人
・資金力がある人
上記の条件の中でも、特に重要なのが「変化に柔軟に対応できる」「資金力がある」ことです。
シンガポールといってもやはり国外ですし、ある程度資金力がないと、有利な税制を最大限活かすこともできません。
これからシンガポールで起業を目指している方は、上記の条件に該当しているかを確認してみてください。
シンガポール起業は、グローバルに事業展開したい人に大きなメリットあり!

今回は、「シンガポールで起業する3つのメリットとデメリット」を解説しました。
シンガポールは有利な税制や立地の良さから、外国人が起業しやすい国と思われがちですが、一概にそうは言い切れません。
今回ご紹介した通り、メリットの裏には必ずデメリットが潜んでいます。
またシンガポール国内だけで事業を完結しようとすると、ビジネスとして成り立たない可能性が高いです。(外国人はローカルに負ける可能性が高いです。)
そのため、将来的にシンガポールを拠点にグローバルな事業を拡大していきたい人、シンガポールをアジアの事業統括拠点にしたい人にとって、シンガポールは起業におすすめの国と言えます。
こちらの記事では、20代のうちに海外就職するメリットについて解説しています。合わせてご覧いただけると幸いです。